第2章 お金より気持ちとか言うけど本当は気持ちよりお金
今は屯所の広間にいる。
先刻まで沖田さんに屯所を案内してもらってた。
果たしてそれは案内と呼べるのかってぐらい適当だったけど。
局長の近藤勲が帰ってきたというので許可と挨拶を、と思い来てみると何故か上着の左腕は破け、顔がボコボコにされている近藤勲がいた。
その両隣には静かに私を見る土方さんとだるそうな沖田さん。
「そうか、煉獄関のか、そうかそうか!」
真選組の局長だからどんな人かと思えば何だか優しそうな人だ。
沖田さんみたいなくそドS外道をまとめるにはこんな人が適任なんだろうか。
「はい。それで今日は住居が見つかるまで真選組屯所で過ごすという事の許可を貰いに来たのですが...」
「あぁ、いいよ。ゆっくりしていってね。」
「ありがとうございます」
座礼をしてから前を見ると、もう土方さんが立ち上がっていた。
「近藤さん、確か一部屋余ってたよな。こいつに部屋案内してくる。」
「おう、ちゃんとしろよ!」
「分かってらァ。」
土方さんが顔をくい、と戸の方に向ける。
行くぞ、って合図だろう。
立ち上がって近藤さんにもう1度礼をしてから土方さんと一緒に広間を出る。
「おい、アイツに何言われたか知らねェがあんま気にすんじゃねェぞ。」
広間をでてしばらく歩いてから土方さんが前を向きながら話しかけてきた。
アイツとは多分沖田さんの事だろう。
「悪い奴じゃねェんだが、性格がその、ちょっと...」
「ドSですか?」
「ああ、そうだ。分かったか?」
「それはもう、充分すぎるほどに。
あんな綺麗な顔してあんな外道でドSだなんて思いもしませんよ。」
私がそう言うと土方さんが急に立ち止まったからその後ろを歩いていた私は思わずぶつかりそうになった。
土方さんは後ろを振り返り驚いた様な表情をした。
土方さんの端正な顔がそんな表情になるのが何だか面白くて、笑いそうになった。