第1章 自称優男は大体外道
1人の男の子が出てきて銀さんの机に四角いシールを置く。
「コレ...僕の宝物なんだ。お金はないけど...みんなの宝物あげるから」
子供達が抱えてたふろしきを広げる。
その中にはたくさんのおもちゃが入っていた。
「だから、お願い。お兄ちゃん。」
「いい加減にしろ。お前ら、もう帰りな。」
沖田さんは諌めるような口調でいう。
「...僕、知ってるよ。先生...僕たちの知らないところで悪いことやってたんだろ?だから死んじゃったんだよね。
でもね、僕たちにとっては大好きな父ちゃん...立派な父ちゃんだったんだよ...。」
「オイ、ガキ!
コレ、今はやりのドッキリマンシールじゃねーか?」
「そーだよ。レアモノだよ。なんで兄ちゃん知ってるの?」
銀さんは椅子から立ち上がる
「何でってオメー、俺も集めてんだ...ドッキリマンシール。
コイツのためなら何でもやるぜ。後で返せっつってもおせーからな。」
「兄ちゃん!」
「ちょっ...旦那」
「銀ちゃん、本気アルか」
でていこうとする銀さんに沖田さんと神楽ちゃんが呼び止めようとする。
「酔狂な野郎だとは思っていたが、ここまでくるとバカだな。
小物が一人刃向かったところで潰せる連中じゃねーと言ったはずだ...。死ぬぜ。」
いつの間にか戸には土方さんがタバコをふかしてもたれかかっていた。
「オイオイ、何だ、どいつもこいつも人ん家にズカズカ入りやがって。テメーらにゃ迷惑かけねーよどけ。」
「別にテメーが死のうが構わんがただ、げせねー。
わざわざ死にに行くってのか?」
「行かなくても俺ァ、死ぬんだよ。俺にはなァ心臓より、大事な器官があるんだよ。
そいつァ見えねーが、確かに俺のドタマから股間をまっすぐブチ抜いて俺の中に存在する。
そいつがあるから俺ァ、まっすぐ立っていられる。フラフラしてもまっすぐ歩いて行ける。
ここで立ち止まったらそいつが折れちまうのさ。
魂が、折れちまうんだよ。」
銀さんは土方さんを通り過ぎて玄関に向かう。
「心臓が止まるなんてことより俺にしたらそっちの方が一大事でね。
こいつァ、老いぼれて腰が曲がってもまっすぐじゃなきゃ、いけねー。」
銀さんは万事屋を出ていく。
「...己の美学のために死ぬってか?...とんだロマンティズムだ。」