第1章 自称優男は大体外道
あの後、私と銀さんは俺達が動けるようになるまで大人しくしとけと土方さんにキツく言われた
どうやら本気のようで私がどこで何をするにしても土方さんか沖田さんの影があるような気がした。
あれから幾日か経った今日、鬼道丸が亡くなったのを聞いた。
鬼道丸が森の中の寺で和尚をやっていたこと、
そこで身寄りのない子供達を引き取り育てていたこと、
その子供達と共に江戸を抜け出そうとした時に殺されたことも神楽ちゃん達から全て聞いた。
私が今いる万事屋の外はどしゃ降り。何となく空気が重いのも雨のせいだけじゃない。
「ごめん、銀ちゃん、ちか。」
「僕らが最後まで見届けていれば...」
新八くんと神楽ちゃんの顔は暗い。
「オメーらのせいじゃねーよ。
野郎も人斬りだ。自分でもロクな死に方できねーのくらい覚悟してたさ。」
「私も...、私ももっと早く事情を聞いて、対処するべきだった。何かが、変わってたかもしれないのに...」
正直、鬼道丸の話はビックリした。
鬼道丸は煉獄関で闘ってる姿しか見たことがなかったから、たくさんの子供達と暮らしているなんて想像もつかなかった。
江戸を抜け出そうとしたのも賭け試合で生計なんかたてず、子供達とちゃんと暮らしたかったんだろうか。
そういえば、最近煉獄関でも鬼道丸の姿を見かけなかった気がする。
「ガキどもはウチらの手で引き取り先探しまさァ。
情けねェ話ですが俺達にはそれぐらいしかできねーんでね。」
そう言って沖田さんは私たちに背を向けようとした。
その時、廊下から居間へと通じる戸が開いた。
「!!!テメーら、ココには来るなって言ったろィ?」
入ってきたのはたくさんの小さい子供達。みんな揃って悲しい、辛そうな顔をしている。
「...に、兄ちゃん。兄ちゃんに頼めば何でもしてくれるんだよね。
何でもしてくれる万事屋なんだよね?お願い!先生の敵、討ってよォ!」
そう言って子供達は泣き出す。
多分この子達は鬼道丸のとこの子なんだろう。
親が、いなくなって辛い気持ちは嫌という程分かる。
私も、両親なんていないのと一緒だから。