第8章 適任と責任
「口論ですが…一応収まりました。」
「そうか…ご苦労。」
私は先程までの状況を説明した。
リヴァイ兵長は何も言わず黙ってそれを聞いていた。
一通り状況を説明し終わったが、リヴァイ兵長は口を閉ざしたままだった。
「…兵長の命令に答えられず申し訳ありませんでした。」
私は居たたまれなくなり謝罪をした。
「…何故謝る。」
「えっ…何故って…」
リヴァイ兵長の予想外の言葉に思わず言葉を詰まらせる。
「理由がどうであれ、お前は自分で考え行動し口論を静めた。…それによって結果は自ずとついて来た…それで十分だろう。」
「しかし…。」
「まぁお前が納得していないなら…俺の専属精鋭として、今回のように自分なりのやり方でやってみるんだな。」
「…自分なりのやり方…。」
その言葉は…
今の私にとって一番必要としているものだった。
(…兵長は私に分からせてくれたんだ…。自分で考え自分で行動する意味を…。そして、それが今の私にとっての出来ることだと…。)
今まで感じていた蟠りがなくなった気がした。
「おい…そろそろ行くぞ。」
「はいっ!!」
リヴァイ兵長に促され後を追う。
私はこの時感じていた…
リヴァイ兵長の存在の大きさを…
そして…
今抱いている想いが尊敬以上のものだということを…。
(それにしても…お前の腹の音には驚かされた。)
(!!へ、兵長っ!?聞こえてたんですか!?)