第8章 適任と責任
「リヴァイ兵長の専属精鋭ってだけでデカイ面するんじゃねぇよ!!」
彼らの行為によって周りの者達も一瞬ザワつく。
私はその場から起き上がり彼らの前に立った。
「…私は…別にそういったつもりはありません。ただ…他の方々の迷惑になると思い止めに来ました。先輩方が何が原因で口論しているかは分かりませんが…。敵は…私達人類の敵は…同じ仲間ではないはずです。こんな口論している暇は無いんじゃないですか!?」
「!?てめぇ…よくそんな口が聞けるなっ!!」
私の一言によって彼らは逆上し、私のむなぐらを掴み拳を振り上げた。
(殴られる!!)
咄嗟に目を瞑り衝撃に備えた。
ぐうーっ…
「「「!!!」」」
しかし、殴られた衝撃は無く変わりに奇妙な音が聞こえてきた。
「…おい…何の音だ?」
「…さぁな…でも、お前から聞こえてきた気がするが…。」
彼らは疑いの目で私に視線を向けた。
私も一瞬状況が把握出来ずにいたが、すぐ原因が自分であることが分かった。
「…すみません。私の…お腹の音です…。」
「…腹の…音!?お前、この状況で腹が減って腹が鳴ったのか!?」
「…そうみたいです。」
「「ぶっ!!あはははははっ」」
彼らは顔を見合わせ笑い出し、先程まで掴まれていた体は自由になった。
笑いと共に場の空気も穏やかになったように思えた。
「そんなに笑わなくてもいいじゃないですか!!」
「はははっ…悪い悪い。しかし…お前よくこんな状況で腹なんて減るよな。」
「あぁ。さすがリヴァイ兵長の精鋭。」
「…それは関係ないと思いますけど…。でも、先程まで先輩方は口論していたはずじゃ…。」
私は先程までの口論の原因を聞いてみた。
「そうだったが…お前の腹の音で口論なんてどうでもよく思えてきてな。」
「そうだな…。あんな状況で水を差されたら怒りも無くなるだろ。」
「…そうですか…。それなら良かったです。」
一新触発の状況は何とか収まり、周りに集まっていた者達も各々の場所に戻っていった。
(…不本意ながらも一応場の収集は出来たけど…恥ずかしすぎるし…完璧アウトだ…。どんな顔して兵長の所に戻ればいいんだろ…。)
私は軽い溜め息をつき、重い足取りでリヴァイ兵長の元に向かった。
(…結構近くに兵長いたけど…私のお腹の音聞こえてたり…ま、まさかね…。)