第5章 初陣と出陣
巨人がこちらに気づき襲ってくる。間一髪で交わし、巨人の背後に回った。
(いける…!!)
私はうなじにアンカーを定め、立体機動で一気に間合いをつめた。
(縦1メートル、幅10センチ!!)
心の中で呟き、うなじを攻撃する。
「ギャーーーー!!!」
巨人の絶命の声と共に、ネス班長は解放された。
「班長!!怪我はありませんか!?」
「ああ、助かったのか…。まさか新兵に命を救われるとはな…。ありがとよ。」
「…私も班長を助けたい一心で…」
「班長、無事ですか!?」
他の班員も合流し、ネス班長の無事に安堵した。
その後も調査は引き続き行われていった。
「おい…任務の状況はどうだ?…報告しろ。」
「リヴァイ兵長!!お疲れ様です!!」
調査報告を聞きにリヴァイ兵長がこちらに来る。
「調査は順調に終わりました。しかし、6メートル・15メートル級の巨人・奇行種の3体に遭遇!臨戦しました。結果、班員かけることなく巨人を討伐しました。
特に新兵のアトカーシャは、俺が殺されそうなところ初陣にも関わらず、奇行種を討伐しました。俺がここに生きているのも、こいつのお陰です!!」
「…ほぉ…そうか…。」
リヴァイ兵長に見つめられ、体が硬直する。
(班長を助けたい一心で行動しちゃったけど、命令違反だし怒られるのかな…でも、結果的に班長は助かった訳だし…でもやっぱり…)
私の心は葛藤していた。
「…ミユ、良くやった…。ネス、あとは任せる。撤退命令が出るまで待機していろ。…警戒は怠るな。」
「了解です!!」
それは…ほんの一瞬の出来事だった。
(リヴァイ兵長が…私のことを認めてくれた!?しかも…初めて名前を呼んでくれた…!!)
私の心は、巨人を倒せたこと、ネス班長を救えたこと、リヴァイ兵長に認めてもらえたことで満たされていた。
そう…
このとき私は知らなかった…
この世界は…
とても残酷だということを…
(皆さん!!帰るまでが壁外調査だから、気を抜かないように全力で頑張りましょうね!!)
(お前…何で今になって元気になってるんだ…!?)