第1章 足音と
事は一瞬で、
つまりは気配に気付かずのんびりおやつを
つまみながら仕事をした私が阿呆だった。
馬鹿だ阿呆だ言われてきたが、
こんなに自分に呆れたことはない。
どうせここからは出れない。
私の職場では毎日喰種の中での
情報交換がされている。
裏で働いているにしても
話は聞くことがあるから今の世間の状態は分かるが、
敵に味方の情報なんか皆目話すつもりもないし、
イトリさんや区の皆を危険に晒すのは絶対に嫌だ。
...運が悪ければ拷問....とか?
爪。爪にナイフとか入れられたり、
縄で縛って海老反りさせられたりするのかな......嫌だなァ....
考えるだけで冷たい部屋はいっそう寒く感じた。
あぁ、なんでもいいから助けて。