第4章 考慮
人と喰種が事故で混ざってしまったという
”元人間“の話を聴いたのは、最近のことだった。
その”事故“も特異で、この話は一部の情報屋にしか
知れわたってないらしかった。
神代リゼが死んで少ししたあと、
ヨモさんがひとりの“半喰種”を私の店に連れてきた事があった。
イトリさん、ヨモさん、ウタさんがいて、
いつもと違うのは、ウタさんの横にいた眼帯の少年。
大人に囲まれて、質問漬けにされている。
黒髪に、人の良さそうな優しい表情。
左目に付けた白の眼帯が、ふつうの顔に引き立って見える。
きっとまたおいしい情報かなぁ。
...あれ、
· ·
...そもそも喰種だとすれば、例外を除いて
嚇眼は両目に出るから、眼帯しても意味無いんじゃ...?
.........?
「(ただの中2病だったりして)」
...あたりまえのように浮き出た自問自答は、今解決しそうにない。
でも大人しそうなどこにでもいる大学生の彼を
こんな大人のバーに連れてくるのだから、喰種柄みしかなさそうだし。
店の表に出られるドアを細く開いて、
盗聴をするべくいつもとは違う来客を視線の先に捉えた。