第3章 痛みと引き換えに
やがてトーカさんと僕は、途中で別れることになった。
買い出しをしてから帰るらしい。
「あとは自分で帰れるよね?」
「はい」
「…不安なんだけど」
来た道を辿ったら、着くだろう。
たぶん。
「もし迷ったら………がんばれ」
「…は…はい」
親指でグッドを作って見せる。
割と笑えないが、あまり世話を焼かせてしまいたくもない。
ヘタレの僕でもがんばればなんだって出来る。
たぶんだけど。
____そんな希望を信じていたのが、10分前。
案の定迷ってしまった。
今どこにいるか全然わからない。
どうしてこう、何も出来ないのかな…
なんとなくヒトの流れに飲まれながら、だんだん迷い込んでいく。
丁度町は帰宅ラッシュで、人が溢れ返っていた。
雑踏に押し潰されつつ、ようやく小さな道に抜けた。
もう暗くなる。急がないと。
あああ、でもここがどこだか分からないんだった。
…どうしよう。