第3章 痛みと引き換えに
私はイトリさんに話した。
やらかしてコクリアにいたこと、
でもアオギリの襲撃でほんの5日程度で出れてしまったこと、
リオがいて、アズサさんと生き別れになったこと、
リオはあんていくの世話になること。
ここで情報交換していく喰種達は情報の対価が情報だから、
ひとつの情報の貴重さをよく考えて話す。
私は仮にも店員なので、躊躇って話す必要はない。
ただジェイルについては何も言わなかった。
まだ分かることが少ないのもあるけど、リオ自身が探すから。
こんな噂で広まってしまうのは気に入らなかった。
イトリさんは壮絶な脱獄に、興味津々に話を聞いていた。
「ほぉー…他から話は聞いたけどほんとについてんね。
コクリアから出れるなんて一生に一回あるかないかだよ?」
「うん。まぁ集めた死体はパァでしたけど」
「もういいよそんなん。で、リオくんは大丈夫なの?」
「…イトリさん、」
「ん」
イトリさんなら、話せると思った。
私が知ってて、リオは知らない“ジェイル”はまだ誰にも言えないけど。
分かってくれる。
「…リオは、ジェイルって喰種を探しています。
詳しいことは言えないけど、私はお兄さんをなくした
彼の支えになりたいんです。」
「だから…リオがお兄さんを見つけるまで、一緒にいたいんです」
あまり見せない私の真面目な顔に、
イトリさんはなぜかにやける。
…えぇ。なんでよ。
そしたら、思わぬ返事が返ってきた。
「…柚葉、リオくんが好きなの?」
「は?…!!!?//」
ええ、
………はっ…!!!?