第3章 痛みと引き換えに
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「___前よりか怒られるのは慣れた。怖いのに変わりはないけど」
「それ慣れてなくない?」
「そだね」
どちらかともなく話は途切れて、別れ際が近いことを理解した。
突然這い出た、痛みと記憶。
私はお兄さんの代わりに、リオを助けてあげないといけない。
でもいつ、どう伝えたら良いだろう。
やることはわかっているのに、内容は漠然としていた。
そうか。
代わりになる、でいいかもしれない。
実の兄と生き別れにされ、ただの友達である私が代わりだなんて
全く足らないし、お兄さんを失った虚無感は、
私程度には埋められない。
それでも、そんなときになんでも吐きだせてしまう人
ひとりいるだけで、虚無は埋まらなくても
ちゃんと立っていけるだろうから。
顔を上げて、リオを見つめる。
「私、お兄さんが見つかるまでリオといる」
「…柚葉が、?」