第3章 痛みと引き換えに
芳村さんとリオが話していた時に出た、
“ジェイル” の名。
それを聞いた瞬間、私は息を飲み、心臓が嫌な音を鳴らしていた。
後の話なんか全く耳に入らなかった。
確か継ぎ接ぎの捜査官もリオをそう呼んでいた。
私はその名前を知っている。
リオは、まだ何も気付いてない。
彼が助けたいお兄さんも、
今のまま進めば______。
それを思い出したくなくて消そうとするけど、
消えなくて、余計に思い出して、それは時に酷い頭痛を連れてくる。
このまま進めば、
彼は最後どうなってしまうだろうか。
ズキズキと痛む幼い記憶。
誰かが、止めてあげないといけない。
リオ自身が、彼を殺してしまわない内に。