第2章 脱獄者
「……!?え、柚葉っ…??」
なんで柚葉がいるんだろう。
コクリアに囚われていたか、…アオギリの喰種だったか…!?
わからない。頭はますます混乱する。
「私も捕まってた。たくさん話したいことあるけど…
この機会は絶対ものにしなきゃ」
いかないと、と言って僕を連れ出そうとする柚葉。
そこで僕ははっとした。
「柚葉ちょっと待って…!」
「どうしたのっ」
ここには兄さんがまだ囚われている。
置いてなんて行けるはずない。
「兄さんも…コクリアにいるんだ」
「…!なら、探そう!」
「……っ、」
柚葉も協力してくれるというのに、
何よりも急がないといけないのに。
兄さんを探すか、
脱出してしまうか。
僕の中で捨拾選択は熾烈を極めた。
「下行く程強い喰種がいるらしいから…って…リオ?」
このまま悩んでいたら、彼女も危険に晒されてしまう。
「兄さんも僕を探しているかもしれない…
だけど今動けない状態だとしたら…っ」
最悪の事態を想像して、背筋が凍る。
想像をかき消すように首を横に振り、
「僕らに出来ることは、このチャンスを無駄にしないこと」
それが、兄さんを助けるための一番の近道だと思ったから。
「…でも……!!」
兄さんを置いて、逃げる。僕は最低な弟だ。
絶対、必ず助けに行くから。
どうかそれまで_____。
躊躇う柚葉の手を引き、上へ上へと向かう。
やがて僕らは、コクリアの天蓋を抜けた。