第2章 脱獄者
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リオの部屋がいきなり静まったので、
私は興醒めしてしまった。
と言っても、盗聴なんてするのがいけない。
でも喰種にも完全に聞こえないような防音設備を
施さないCCGもわるい。←
退屈だ。
ここには何もない。
おなかいっぱいになれる量の肉も、
安らかな森林も、
話ができる仲間も、
朝も夜も、
____あったかいコーヒーも。
…イトリさん、心配してくれてるかな。…ないかもな。
仕事しないと叱られちゃうな。
血酒どうなったかな、
…おなかすいたな。
嫌だな、このまま死んだら。
だんだん思考が下に向いてきて、目が憂う。
「…脱獄でもするか」
出来る筈もない独り言を呟き、自嘲気味に笑った。
それが、数秒後に叶う独り言とは知らずに。
どん、と耳が痛む様な爆発音、目が覚める程の地鳴り。
同時に遠くから人々の怒号と悲鳴が反響する。
「襲撃だ!!襲撃者は、アオギリの樹!!!」
大声の他に、誰かの戦う音も混じっている。
「?!な、何事なのっ、アオギリの襲撃!?」
あまりの騒ぎの大きさに、思わず立ち上がっていた。
その瞬間、
ガタン!!という音が私のすぐ近くで鳴った。
びっくりして声が出ない。
見るとそこには、無理矢理蹴飛ばされたように
倒れる鉄の重たそうなドア。
扉が、開いたのだ。
誰がなんでやったかとかは、よくわかんない。
でも状況を考えるのは後、
このチャンスは逃すわけにはいかない。
ふるふると首を振って、部屋から飛び出す。
出て私は、すぐ横へ曲がった。
___リオももちろん一緒に行かなきゃ。