第8章 お茶をどうぞ、お嬢様〜執事松〜
昼間はどうなるかと思ったけど、いつもと同じ静かな夜が訪れた。
シルクのパジャマに着替えた私の元に、一冊の本を持ったおそ松がやってくる。
毛布に包まれ、堪えきれず欠伸をする私を見て、おそ松はふわりと微笑んだ。
「おつかれだねぇ。今日は大変だったもんな」
頭をポンポンと撫でられ、気分はまるで妹。小さい頃を思い出して甘え心が顔を出す。
私がねだるように頭をおそ松の手に擦り寄せると、今度は頭をわしゃわしゃされた。
「甘えちゃって!かーわいーい!」
「う、うるさい!早く読みなさいよ!」
「聞いて驚くなよ!今夜はこれなのだー」
くるりと向けられた絵本は…
「……あの、白雪姫なんて驚くわけがないんだけど…」
呆れ顔で答えるけど、おそ松は相変わらずニコニコしている。
「昨日泣かせちゃったし今日は怖い思いもさせたから、ど定番で攻めてみました〜」
どうやら、おそ松なりに気を使ってくれたみたい。