第8章 お茶をどうぞ、お嬢様〜執事松〜
(おそ松、ヤキモチ焼いてるの…?)
私は気づいてしまった。
おそ松の、そして、自分の本当の気持ちに。
不意に胸が苦しくなりギュッと押さえる。
馬鹿みたい。
喧嘩して自覚するなんて。
私は6人をクズで役立たずと罵っていたけれど、本当はいつも嬉しくて、楽しくて、毎日があっという間だった。
そして、その中でもおそ松、あなたと過ごす時間が1番好きだった。
バカみたいに正直で楽天的なあなたに私は何度も励まされた。
自分を嫌いになりかけた時も、あなたの明るくて愛しい笑顔に救われたの。
ねぇおそ松。
私、自分の気持ちを見つけたよ。
この、甘くて苦しくて切ない気持ちに名前をつけるならば、それはね——。
「おそ松…キツく言ってごめんなさい、私…」
潤んだ瞳で見つめれば、おそ松は跪いて私の手の甲にキスを落とした。
「ご無事でなによりです。俺だけのお嬢様」
「あの、お取り込み中悪いんだけど、速やかにそれ掃除しません?」
チョロ松の一言で、皆一斉に我に返りイヤミの後始末を始めた。
気づいた時にはヘリは遠くの空を飛んでいた。
・・・