第7章 全力トド松ガールー〜トド松〜
カフェを出たのはいいけど、私の足は貧血でフラフラ。トッティに肩を抱いてもらい、なんとか歩けている状態だ。
「大丈夫?今日は解散しよっか。家まで送ってくよ?」
「へいき…」
トッティは苦笑しながら私を諭す。
「平気じゃないでしょ。ウチに来るのはまた今度」
「え?」
そんな…!今日はエッチ出来ないの?
「トッティ」
寂しくなって名前を呼べば、すぐに見つめ返す黒い瞳。
「なぁにお姫様」
「もうちょっと一緒にいたい」
「ふーん、そう」
(こ、この笑顔なのにどこか冷淡な瞳の微笑は…!)
彼女である私には分かる。
今、トッティは"女心が分かる超絶理想の彼氏トッティ"から、"女のM心をトコトン炙り出すSモードトッティ"へギアチェンジした、と。
「しょーがないなぁ。じゃあ、ウチに着くまで一度も鼻血出なかったらエッチしてあげる」
どきりと心臓が飛び跳ねる。
「わ、私したいとは言ってないよ!」
「しないの?じゃあいいや」
プイッと私から顔を逸らすトッティ。
あぁーカッコいいよぉ。もっといじめられたいよぉ。無理やり恥ずかしいこと言わせられる展開に酔いしれたいよぉ!
「えっと…私は、その、また鼻血出しちゃったらどうしようと思ったから…」
「したいの?したくないの?どっち?」
トッティは冷たく言い放った。
いつも可愛くて優しい分、責める時のギャップが堪らなく色っぽい。少し声が低くなるだけでゾクゾクしちゃう。
恥ずかしさとトキメキが混ざり合い、胸の中に甘い痛みが広がる。
「…………したい」
「なにを?」
分かってるくせに……♡
「………エッチ」
「ふふっ、ちゃんと言えんじゃん。いいこいいこ」
ご褒美に髪をクシュクシュされ、危うく鼻血を出しかけるも女の根性でなんとか乗り切る。
「じゃあ、鼻血出ないように頑張るから、その可愛いアヒル口と綺麗な瞳ときめ細やかな肌やめて」
「そんなの無理に決まってるでしょ……ほら、頑張って……主ちゃん…」
「ひゃうんっ!」
吐息混じりに耳元で囁かれ、鼻の粘膜が悲鳴をあげた。