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おそ松さん〜寝物語は君の隣で〜

第6章 さよなら14番〜カラ松〜



色っぽい声に背中がゾクリと粟立つ。


「…分かりません」

「そうか。なら教えてやろう」


松野看守は、不敵な笑みを浮かべながら、椅子の周りを後ろ手でゆっくり歩きはじめた。
革靴が床を蹴る音が、私の鼓動を高鳴らせる。


「君は14番と随分仲が良かった。オレの目を盗み、滅多に支給されないチョコバットを14番に分け与えていたのを、オレが知らないとでも?」

「そっ、それは…!」


それはそうだけど、だからなんだと言うのだろう。※受刑者同士の食事の交換は禁止である


「羨ま…ゲフッゴフンゴフン!!…そんなに仲睦まじい二人だ。協力して脱走を企ててたっておかしくない。フッ、さっきはつい君の純粋無垢な瞳に騙されそうになったが、生憎と冷酷無比な看守であるオレの目は誤魔化せないぜ?」


「どちらかと言うと温厚無比なのでは?」と返そうと口を開いた刹那、


「さぁ観念するんだ!君の悪事はチェックメイツッ!!」


手をピストルに見立てて、私のこめかみを撃ち抜いた。


「やめてください」
「スイマセン」


松野看守はしょんぼりと肩を落としている。

ついイラっとして冷たく言い放ってしまった。


(流石に失礼だったかな…謝ったほうがいいかも…)


と思った矢先、


「フン、随分と生意気じゃないか。気に入ったぜ」


どういう思考回路を持っているのか分からないけど、松野看守はすぐに復活した。普段から何百人ものならず者達を相手しているだけあり、メンタルは相当タフらしい。

厳しい目つきで私を睨み、私の顔の前で警棒を振ってみせる。



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