第4章 松奥〜F6十四松〜
寝所にいるのはわたしと十四松様だけではない。
衝立越しに、坊主頭に男装した御伽坊主、御添寝役が、わたし達の睦言に聞き耳を立てており、翌朝御年寄様に内容を報告されるのだ。
この間、嬌声が大きすぎると叱られたばかりだったので、今夜は静かに十四松様とまぐわうつもりだったのに…。
「ひ…ぁ、んん…」
十四松様の愛撫は、わたしが弱いところを的確に虐めてくる。
手首を後ろ手に縛られ、うつ伏せになり膝立ちという、恥ずかしい体勢にされながら、十四松様の指になすがまま快楽へと導かれる。
声を押し殺せば、愛撫がより一層強くなり、広げられた花弁のその奥を、長い指が何度も掻いた。
「……は、あ…ぅ」
吐息が、熱い。
意識が欲に侵食される。
「そんなに我慢してどうしたの?いつもの可愛い声、聴かせてよ?」
「だって…声…煩いと叱られ…っんぁっ!」
「そうそう、その声」
意地悪な声が耳元で紡がれ、わたしの心を弄ぶ。
「ねぇ主。ぼくが誰よりも君がお気に入りな理由、分かる?」
クチュクチュと音を立ててかき混ぜ、優しい声音で問いかけられる。わたしはなんとか理性を保ちながらかぶりを振った。
「それはね、健気でおしとやかなのに、こうして肌を重ねれば、誰よりもぼくに乱れ狂ってくれるからだよ」
つぷ、と指が増やされ、二本の指が交互に肉壁を押すように蠢く——と、頭の中に何かが込み上げ、そして真っ白になった。
「あっはは、指だけでイッたね?主はいつも、その華奢な身体でぼくの全てを受け入れてくれる。ぼくはそれが堪らなく愛しい」
背中をつうと舌が這う。ひとりでに肌が粟立ち、肩が震える。
十四松様は満足されたのか、指を蜜口から引き抜き、わたしの腰を持ち上げた。