第3章 オレなりのドリームノベル〜カラ松〜
「どうしてその女を庇うの!どいてカラ松!」
「すまない。オレは今宵、このハニーとラブメイキングしなければならないんだ。身体がハニーを求めて疼いているんだ」
「そんな…あんなに愛を囁いてくれたのに…!私を1番愛してるんじゃないの?」
「1番?そんなこと言ってはだめだ。キミは元々特別なオンリーワンなのだから」
今は無き国民的アイドルグループの歌詞の受け売りだが、オレの言葉に感銘を受け、レディは大粒のきらめきをその瞳からポロポロとこぼした。
「さぁ、傷つけてしまった君の心をオレは癒せない。その代わり、思い切りオレを殴れ。一思いにやってくれ」
人差し指でトントンと頬をつついて見せる。
「——わかったわ」
声を震わせながら、レディは拳を作ると、ぽふ、と撫でるようにそっとオレの頬へグーパンした。
その優しさにオレはギルト感で一杯になる。
「ダメだ!!何をしてる!!骨を砕く勢いで殴れ!さぁっ!」
「無理…無理よっ!そんなの出来る訳ないじゃないっ!」
泣き崩れるレディの手を包み込み、その瞳にオレを映す。
「いいんだ!君の心の傷に比べれば、オレの顔なんかどうなったって!」
「嫌よ!だって、私は!」
オレを睨むレディの瞳に光が灯った気がした。
「カラ松を——愛してるから…!」
そう言い放ち、カラ松ガールズNo.723は、オレの手を振り切り闇夜の中を走り去っていった。