第3章 オレなりのドリームノベル〜カラ松〜
バーから出たオレ達は、愛を確かめ合うためホテルへと足を運ぶ。
そっと肩に腕を回すと、シャイなハニーはそのきめ細やかな頬をトッティ色に染めた。
「どうした?緊張してるのか?」
こくり、と躊躇いがちに頷く。
そのウブな反応がオレに火をつけるとも知らずに…。
「怖がらないで…」
湧き上がる情動を抑えきれなくなったオレは、主の顎を掴み、視線をぶつけた。
オレのサインに気づいたのか、ゆっくりと瞼を閉じる主。
2人の唇が重なろうとした——その時だった。
「カラ松…」
電柱の影から、1人のレディが現れた。目に涙を溜めてオレを睨んでいる。
「君は、カラ松ガールズNo.723!?」
「その女誰?私が1番じゃないの?」
あぁ、レディ、そんな顔をしないでくれ。
分かってる。分かってるさ。誰も傷つけたくないのに傷つけてしまう。それがギルトガイであるオレの宿命…。
世界中のカラ松ガールズを愛したくても、オレという存在はたった1人。
常に世界平和を祈っているのに、カラ松ガールズが武装してオレを取り合うなんて、笑えない冗談さ。
——ならば、傷つけられるべきなのはこのオレだ。
オレは、主を自身の背中に隠し、レディへ真っ直ぐ向き直った。