第12章 ※くすり〜トド松〜
だけど、そんなスムーズに物事は運ぶはずもなく——
「トド松お前、本気か?」
一松兄さんがボソリと呟いたのを皮切りにチョロ松兄さんも続く。
「毎日一緒に風呂入って背中流しっこしてお揃いのパジャマ着て同じ布団で寝てる僕を差し置いて、女子とデートすんの?」
うわぁ事実だけどそうやって言われるとすごい仲だな!?てかそれ兄弟全員だし!
「あはは、仲良しだね」
主ちゃんの笑顔があからさまに引きつっている。
「い、いや、確かにそうだけど、なんて言うか習慣というか安上がりだから親がそうさせてるというか!チョロ松兄さんとだけそういう事してるわけじゃなくて」
手を広げ必死になって主ちゃんに弁明する。
「ボク達4つ子どころか6つ子だから!セットとして扱われてるみたいな!感じ!」
「…おれなんて、身体のあんなとこやそんなとこ隅々まで知り合った仲なのに…」
「内臓!!内臓見ただけ!!」
「ぼくなんてトッティの中入ってハッスルしたよ!」
「細胞ぅぅぅ!!それ細胞レベルで入ってきた話ぃぃぃ!!」
内臓とか細胞とか言っても、そんなバカげた話信じてくれるわけがない。
一松兄さんと十四松兄さんの誤解を招かざるを得ない話に、主ちゃんは困惑の表情を浮かべている。
あぁ…ますます状況が悪化した。