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おそ松さん〜寝物語は君の隣で〜

第12章 ※くすり〜トド松〜




「なんなの急に!」

「危なかった。大事なブラザーが傷物にされるところだったぜ!」

「逆に危ないから!いきなり叫んだらびっくりするでしょ!」


ドライバーが驚いた拍子にあらぬ方向にハンドル切ってたらどうなってたんだろう。

考えただけでもゾッとする。


「フッ、生きるのは常に死と隣り合わせだからな」

「隣どころか自ら死へ向かってたから!」

「いいじゃないか無事だったんだから。結果オーライだ」


なにがオーライだ。そのクソグラサンへし折ってやろうか?

デート前に気力体力を消耗し、ボクはイライラしっぱなし。ストレスで肌荒れしちゃう。

そんな哀れなボクの横を、大学生っぽい2人の男が通り過ぎた。

すると、カラ松兄さんは今度はその2人に向かいシャウトする。


「トゥーバッドボーーーイズ!!!!」

「うるっさいなぁ!?」

「なんてチャラそうなボーイズなんだ!トッティに色目を使ってくるに違いない!」

「ちょ、ホントやめて!?すみませんこの人、さっきそこで頭ぶつけておかしくなっちゃって…」


トゥーバッドボーイズは汚い物でも見るような目つきでボクらを一瞥し、何も言わずに去って行った。


「行ったか…だがまだ油断は出来ないな」

「なに言ってんのこの人」


家帰って頭冷やしたら?、と言おうとしたところで手を結ばれる。


「なんなのさっきから!時間無いって言ってんのに!」

「ここは人通りが多くて危険だ。あっちの道から………あ…!」


カラ松兄さんは、繋がった手を見てみるみる顔を赤くした。


「す、すまない、つい…。触れるつもりはなかったんだ」

「ならさっさと離して」


って言ってるのになぜか離さない。それどころか両手で強く握りしめてきた。


「…トッティ」


なんだ、この感じ…?

妙な違和感を覚え立ち止まる。


「オレはどうかしてしまったのかもしれない」

「うん。確かにさっきから行動と言動全て意味わかんない」

「なぁ、どうして——」


悩ましげな表情で兄さんは呟く。


「オレ達、兄弟なんだ?」


オォォォオマエもかぁぁぁ!!!!

惚れ薬を飲んでいたとなれば、今までの不審な行動全てに合点が行く。


「あ、ちょっとゴメン。急がないとだからボクもう薬局いいや」


面倒な事になる前に早急に逃げないと。

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