第12章 ※くすり〜トド松〜
外に出ると日は傾きかけ、風は秋の匂いを纏っていた。端的に言うと肌寒い。
カラ松兄さんはポケットに手を入れ、いつものクソな革ジャンとグラサン姿。
一方、ボクは薄ピンクのシャツにジレを合わせたハイセンスな大人コーデ。
シャツは今日下ろし立てな上にほんのり香水もつけてるんだ。清潔感ある色気で至近距離の印象アップ間違いなし。
「この後は用事あるのか?」
「うん、薬局行ってから電車乗る」
予定を告げると、カラ松兄さんはなぜか眉間に皺を寄せご機嫌ななめな様子。
「こんな時間に誰と何をしにどこへ行く?」
「こんな時間ってまだ夕方だし。知り合いとご飯行くだけだよ」
「知り合い?何を知り合った仲なんだ?」
「顔を知り合った仲だよ!」
しつこさにストレスが溜まっていく。こんな詮索するキャラだっけ?
「身体を知り合ったんじゃないのか?」
「そんなわけないでしょ!相手男だし!」
真実の中に嘘を混ぜるのが上手な嘘。
女子とご飯って言ったらまた何されるか分かったもんじゃないからね。
「そう………か」
そう呟き、カラ松兄さんは遠くの空を見て黄昏始めた。
一体なんのスイッチが入ってしまったんだ。