第12章 ※くすり〜トド松〜

おそ松兄さんは馬乗りになって覆い被さってきた。


「重いなぁもうっ！」


腕をジタバタさせるけど、か弱い妖精のようなボクでは敵うはずもなく…。


「トド松っ！」


ゲスい瞳がボクを捉える。

嫌だ。コイツで新品卒業だけは絶対に嫌だ。


「トッティ」

「どけよゲス松！」

「トドーまつぅ！」

「やだやだやだ不潔！野蛮人！穀潰し！」

「トド松ってば！」


ひたすら抵抗し暴れていると、ついに顎を掴まれる。


「…こっち見ろ」

「切ない声やめて！？」

「茶化すなよ」


そして、抵抗むなしくその時は訪れてしまった。


「トド松。聞いて」


おそ松兄さんは少し躊躇う素振りを見せ、静かに思いを口にする。


「俺さ、お前とセックスしたい」

「どストレートすぎ！？」

「俺の童貞やる」

「いやいらないマジいらない。いらないって、ちょ、どこ触ってんの！！」


ゲス松の顔がどんどん近づいて来る。荒い鼻息が顔にかかりゾクゾクと寒気がする。

よりによって薬を飲んだのが、ゲスの真髄を極めし長男だなんて。


「ヤるくらいいいだろぉ？一緒に卒業しようぜ？」

「イヤだぁぁぁぁ！！誰か…誰かタスケテーー！！」

「嫌がるの無理やりとか最高のシチュエーションだな」

「ヤーーメーーローー！！」


シャツのボタンが1つ、また1つと外されていく。

なにこれ。惚れ薬を他の奴らに使われない為に策を練った結果がこれかよ。こんな事なら普通の惚れ薬貰えばよかった。

なぜボクばかりこんな目に遭うんだ。

ボクはただ、非情な現実からなるだけ目を背けて、薬の力を頼っていい思いをしようとしただけなのに。

——主ちゃんに、童貞捧げたかったなぁ——


「そこまでだ。おそ松」


シャツを脱がされたところで、カラ松兄さんの声が部屋に響いた。