• テキストサイズ

おそ松さん〜寝物語は君の隣で〜

第12章 ※くすり〜トド松〜



楽しみな事があるとさ、毎日ルンルン気分で過ごせるよね。でもそれと同時に時間の流れを遅く感じちゃう。

惚れ薬をもらってから今日という日を迎えるまでたった数日だったのに、3年くらい待った気分。あははっ、流石に大袈裟か。

ソファーに腰掛けピンクのスケジュール帳を開けば、今日の日付にハートのシール。

もうトッティ待ちきれない。

パンッと両頬を叩いて気合いを入れる。


「デートフォォォォォォゥッ!!」


主ちゃんは日中用事があるみたいだから、夕方待ち合わせしてご飯を食べる予定なんだ。

下調べして個室ダイニングも予約済み。アジアンリゾート系のフォトジェニックなお店をね!

誰も2階に上がって来てないのを確認し、押入れを開く。

奥に隠していたフレスクのケースを取り出すと、軽く振って手のひらに1粒転がした。ピンク色の小さなハートが可愛く踊る。

このハート形のタブレットがボク専用惚れ薬。

貰った時は褐色瓶に入ってたけれど、カモフラージュの為にフレスクケースに入れ替えておいたんだ。これならただのラムネにしか見えないでしょ?

博士の説明によると薬の効き目は1粒で1日。まとめて飲めば効き目の持続時間が延びる。

つまり、3粒飲めば3日間。御都合主義万歳な薬だ。

せっかくだから可能な限りイチャコラしたいし、お口直しとかテキトー言って沢山飲ませちゃおうかな。


(そだ!何日ボクにゾッコンになってくれるか数えよーっと)


と、浮かれ気分でフレスクを振る。

出ない。

出るまで振る。

出ない。

腕の筋肉が悲鳴をあげるまで振る。

出ない。というか入ってる音がしない。

つまり、中に入っていたのはさっきの、


「ひ、1粒だけ?」


そんなはずはない。フレスクに入れ替える時いっぱいあったもん。

胸騒ぎがする。第6感が告げている。

ここは危険だ、早く逃げろ、と。


「トド松ぅ〜」


すかさずポケットに惚れ薬をしまう。声の方に目をやればマヌケ面のおそ松兄さん。

ヘラヘラしてる兄さんと対峙するボクの心は緊張で張り詰めている。

お前か?お前が飲んだのか!?


/ 175ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp