第12章 ※くすり〜トド松〜
兄さん達に内緒で単発バイトした時、とある女の子と出会った。
仕事しながら何気ない会話を交わしたんだけど、話しやすいし可愛いしでかなりボク好みの女の子だった。
話を聞いたら、ここ数年彼氏はいないらしい。
で、「ボクも今いないから同じだね」から会話の流れをそっち方向に持っていき、見事連絡先ゲットして来週デートすることになったんだ。
せっかくだから、1度きりじゃなく次のデートに繋げられるような楽しいデートにしたい。
あんなにステキな子滅多に出会えないし。これを逃したら一生後悔すると思う。失敗は許されない。
そんなわけで、ボクはデカパン博士のラボにきていた。
「ホエ?トド松くん専用惚れ薬ダスか?」
「そっ♪赤塚が生んだ天才デカパン博士なら作るのなんて訳ないでしょ?」
「ホエホエー、照れるダスなぁ!」
嬉しそうに頭掻いちゃって。チョロいなー。
デカパン博士はパンツの中をまさぐり、ハートがあしらわれた怪しいピンク色の液体が入った瓶を取り出した。見覚えのある瓶だ。
「この前の残りがまだあったダス!」
「あのさ、それは不特定多数に効いちゃうやつでしょ?」
以前父さんの為にみんなで秘境の奥地に行ったっけ。
てか、不慮の事故を避けるために"ボク専用"ってワザワザ言ってんのに…
「これをトド松くん専用に作り変えるダス!」
あ、分かってんじゃん。よかったー。説明2度とかクソ面倒だったから。
「ありがとーデカパン博士っ!頼りになるぅ!」
「ではちょっと失礼するダス」
「痛っ!何してんの!?」
「トド松くん専用にする為に必要なんダス。あとはこっちも」
「え?ちょ、ちょっと待ってー!」
ぶっとい注射器を向けられ、逃げようとしたらダヨーンに後ろから羽交い締めにされてしまう。
「逃げんなヨン。痛いのは最初だけダヨン」
「アッーーー!!」
デカパン博士はボクの髪の毛数本と体液を採ると、「出来るまで待っててダス」と告げてラボの奥へと消えていった。
こうして、脱童貞の切り札"松野トド松専用惚れ薬"は完成したのだった。
・・・