第11章 リクエスト作品 ハニーに首ったけ〜カラ松〜
オレンジが街を染める黄昏時、4つの影が並んでいる。
「フッ、接戦だったな」
「あはははっ!うん!接戦だったね」
「ああ、実に、実に惜しかった…」
魚釣り勝負はオレとハニーが3匹、ブラザーが38匹。見事なまでにオレ達の惨敗だった。
オレ達…というかオレの惨敗だ。なにせ1匹も釣れなかったんだからな。
接戦だなんてとんだ強がりを言ってしまったが、優しくてキュートなハニーは全てを察して微笑みかけてくれた。
「ね、カラ松、次は絶対勝とうね!」
無様なオレを傷つけまいとする、そのさりげない気遣い。
「当然だ」
そっと肩に腕を回すと、少し照れ臭そうに俯くハニー。
「主…」
ブラザーに聞こえぬよう耳元でそっと囁けば、返事の代わりに肩がピクンと震えた。
「その優しさに、オレはいつも救われている……センキュー」
自分でも驚くほど、嘘偽りない気持ちをハニーに伝えられた。
すると、ハニーは頬をほんのり紅く染め上げ、潤んだ双眸を瞬かせる。
「あのね…お礼を言うのは私だよ。カラ松こそ、いつも沢山甘えさせてくれてありがと」
「っ!!」
やはりハニーには敵わない。