第9章 リクエスト作品 オレがオレであるために〜カラ松〜
チョロ松と別れ、孤独に街を彷徨う…………オレ。
街が寂しく見えるのは、きっとオレが寂しいからだろう。
(まさか、何も告げず辞めてしまうなんて……)
分かっていたさ。
本当は彼女がカラ松ガールでないことぐらい。
恋の予感に1人で舞い上がっていただけだ。
いや、それも勘違いだったんだがな。
トボトボと歩きながら空を仰ぐ。
視界に飛び込んできたオレンジの眩しさに、サングラスをかけていなかったことに気づき、心を覆うように瞳を漆黒で隠した。
沈みゆく夕日に、名も知らぬカラ松ガールを重ねれば、行き場のない情熱がオレのハートを焦がす。
オーマイサンシャイン。君は沈まぬ太陽だったのに。
オレを置いてどこへ行ってしまったんだ?
会いたい。せめてもう一度だけ。
始まりさえ歌えないラブソングなんて、あまりにも滑稽じゃないか。
「あの、すみません」
フッ、どうかしてるな。これくらいで感傷に浸るなんてオレらしくない。
「すみませーん」
そう!孤独でクール!それがオレ、カラ松だ!
「あのー!」
オレのセクシーでデンジャラスな魅力に、カラ松ガールズはホの字なんだ。弱気になってはダメだ。
「ねぇ!そこの靴がキラキラしてる人!」
「ん?」
キラキラと輝きを放っている人?それってオレしかいないじゃないか。