第9章 リクエスト作品 オレがオレであるために〜カラ松〜
「ったく、なんとなく意図は読めたよ。つまりここの店員が気になってて、会話するキッカケを作りたいんでしょ?」
「いや、正確にはオレではなく向こうがオレに気があるみたいなんだ」
「あ、そう。じゃあ」
冷たく言い放ち歩き出すチョロ松。
え?なぜまた機嫌を損ねる!?
「待つんだブラザー!!」
「待たない」
チョロ松の足元へ、すかさずスライディング土下座し懇願する。
「頼む!オレにその本を売らせてくれ!!」
「しつこいなぁ。さっきいいって言ってたじゃん。人に頼らないで自分のエロ本でも売ってろ」
「買いすぎと売りすぎでもう何もないんだっ!万策尽きてしまったんだ!」
「こわっ!?知らぬ間にそんなストーカー予備軍に成り下がってたの!?」
「ストーカー?ノンノンノン、オレは一方的な愛を押し付けたりしない。愛には様々な形があるが、待ちわびているであろうカラ松ガールに………お願い待ってぇぇえ!!」
店に足を向けたチョロ松の肩を掴むと、チョロ松は大げさにため息を吐いて振り向いた。
「はぁ…、わかったよ。とりあえずさ、そんなに会いたいなら店入らないと」
「え」
手渡される紙袋。
「いいよ。僕本見て待ってるから。売ってきなよ」
「ブ、ブルゥアザァァア…!!」
「売りもんに鼻水つけんな!」
オレの熱い抱擁から逃れるようにチョロ松は店へと入っていった。照れ屋で可愛くてなんだかんだ優しいブラザー!そんなお前には今度寝る前に子守唄をプレゼントしてやろう。
期待に胸を弾ませ店に入ったが、突きつけられた現実にオレのハートは粉々に打ち砕かれた。
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