第9章 リクエスト作品 オレがオレであるために〜カラ松〜
エロ本とグッバイしたオレは、他の客がいなくなったのを見計らってさっきのコード譜をレジへ置いた。
髪を掻き上げながらグラサンを少し下げて上目遣いでガールへ熱い視線を送る。
さぁ、君はこのカラ松のクール&セクシーに耐えられるかな…?
「280円です」
「……」
「あの、280円です」
「あぁ」
「?」
怪訝な顔をしているガール。
フッ、そのフェイス、照れ隠しだってバレバレだぜ?
掻き上げた髪を指でくるくると遊ばせる。
「お客様、あのー」
「オーケー。お会計だろう?」
「え?は、はい」
そんなに急かさなくたって、ちゃんとこうして………あれ?財布どこだ?いつも革ジャンかジーンズのポケットに入れて……え?ほんとにどこ!?
革ジャンを脱ぎ捨てタンクトップ(勿論マイフェイス付きだ)姿になりポケットをまさぐっていると、ガールが声をかけてきた。
「お客様」
「待ってくれ。照れ屋な財布がかくれんぼして」「床に落ちてますよ」
「っ!!」
足元を見れば、落ちた拍子に開いてしまったのであろう財布から小銭が散らばってしまっていた。
「あぁ、こんなとこにあったのか」
冷静になれカラ松。
焦らずクールに財布を手に取り、そして小銭をスムーズに拾うんだ。
んー?どうしたマイフィンガー?なぜこんな時に限って動かない?まさか緊張しているのか?
「大丈夫ですか?」
小銭拾いに悪戦苦闘していると、ガールがレジから出て拾うのを手伝ってくれた。
「ぁ……仕事を増やしてすまない」
「気にしないでください。あ、そこにも落ちてます」「あぁぁあっ!?」「ひぃっ!?」
オーマイゴッド!!思わずシャウトしてガールを驚かせてしまった!だが仕方なかったんだ!指先が触れ合った瞬間、オレのハートが痙攣を起こしたんだ。