第4章 訓練と野球のお時間!
そして泣きながら有田投手のものと思われるサインを出す殺せんせー。
(そりゃ怒られるわ…)
内容は『ふざけんな触手!!!』。
「その状態でサイン頼んだの!? そりゃ怒るよ!!」
渚君は焦るが杉野くんは落ち込んでいる様だった。
「…そっか、やっぱり才能が違うんだなぁ…」
「一方で」
殺せんせーは杉野くんの言葉に被せるように言った。
「肘や手首の柔らかさは君の方が素晴らしい。鍛えれば彼を大きく上回るでしょう」
……そう、殺せんせーはそういう先生だよね。
生徒のいい所を伸ばす。自分でも気が付かなかった才能に気付かせてくれる。
「いじくり比べた先生の触手に間違いはありません。才能の種類はひとつじゃない。君の才能に合った暗殺を探して下さい」
そう言って殺せんせーは立ち去った。
「ころ…」
話しかけようとしたが渚君が駆け寄るのを見てあわてて隠れる。
「殺せんせー! まさか…杉野に助言をあげるためにニューヨークへ?」
「もちろん、先生ですから」
「普通の先生はそこまでしてくれないよ」
そこで一旦言葉をとめて、悩ましげに視線を逸らす渚君。
「まして、これから地球を消滅させる殺せんせーが」
少し黙った殺せんせーは、視線を泳がせ、もう一度渚君に目を向けた。
「先生はね、渚君。ある人との約束を守るために君達の先生になりました」
殺せんせーの触手が高速で動く。
「私は地球を滅ぼしますが、その前に君達の先生です。
君達と真剣に向き合うことは…地球の終わりよりも重要なのです」