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【トリップ】全てを知っている私が!【暗殺教室】

第28章 沖縄旅行は海の香り



イリーナ先生は12の時に人を初めて殺したそうだ。先生の国は民族紛争の激化から道で一般市民が殺されている事も珍しくなく、ある日先生の家にも敵が来た。

親は殺されイリーナ先生が隠れていたドアを敵は開けた。そして先生は……撃ったんだ。

一体の敵と共に他の敵が去るまで狭い蔵の中。一晩かけてゆっくりとなくなっていく温もりに、殺すということを理解したのだ。


烏間先生にしかしない話を遠くから眺めているとイリーナ先生はふいに結ばっていた髪の毛のゴムを切った。立ち上がり、烏間先生の胸元のナプキンを掴んだかと思うとその布に軽く口付ける。そしてその布を今度は烏間先生の唇に持っていった。

艶やかに笑うイリーナ先生はこちらに踵を返し歩いてくる。そしてそのうちにその表情は「やっちまった」といった様に変化していった。

「何よ今の中途半端な間接キスは!!」
「いつもみたいな舌入れろ舌!!」
「あーもーやかましいわガキ共!!大人には大人の事情があんのよ!!」
さっきまでの先生側のしんみりした空気、そしてこちらのわくわくした空気はどこへやら。途端にうるさくなる生徒にイリーナ先生はしびれを切らした。
「いやいや、彼女はここから時間をかけていやらしい展開にするんですよ。ね」
「ねじゃねーよエロダコ!!」
殺せんせーにまでニヤニヤされてイリーナ先生の血管がぷっつん行ってしまいそうだ。

こうして私達の暗殺旅行の最後の夜は更けていった。



翌日。本州へと戻る船に乗り込んで、私はテラスに立った。皆も各々室内だったり外だったり好きな場所に散らばっている。

「うーん……帰ったら学秀になんて説明しよう」
あの時何とか誤魔化したものの対面で誤魔化されてくれる学秀では無さそうだ。スマホをチラチラ見ながら私はため息をつく。
「んー……」

言葉を打ちかけては消しを繰り返したあと、結局私は画面を見るのをやめた。

「東尾」
「ぬわっ!?」
あまり聞き慣れない声に勢いよく振り向く。
「た、竹林くん。それに磯貝くんにメグまで」
「京香お疲れ様〜」
「旅行楽しかったか?」
「う、うん……」
真面目コンビ……というか真面目トリオの三人がこちらに寄ってくる。なかなか無いことだ。私は少し身構えた。

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