第28章 沖縄旅行は海の香り
烏間先生の背中を頬を染めて見つめるイリーナ先生。
その肩をとんとんと叩く私たち生徒。
ふりかえるとそこには殺せんせーの頭に描かれた「カップル成立」の文字。
私たちはイリーナ先生から話を聞くことになった。
「意外だよな〜あれだけ男を自由自在に操れんのに」
「自分の恋愛にはてんで奥手なのね」
生徒に慰められたイリーナ先生は逆ギレを始めた。
「仕方ないじゃないのよ!! あいつの堅物ぶりったらワールドクラスよ!!」
ううん、それはわかる気がする。
「私にだってプライドあるわ。男をオトす技術だって千を超える。ムキになって本気にさせようとしてる間に…」
そこでイリーナ先生はむ、と口を噤んだ。
「そのうち、こっちが」
……いや可愛すぎる!
E組の何人かの男子にも刺さったようだ。
「可愛いと思っちまった」
「なんか屈辱」
「なんでよ!!」
そこにいた親指を食むイリーナ先生は、世界有数のハニートラッパーではなくどこにでもいる恋する女性だった。
「俺等に任せろって。2人のためにセッティングしてやンぜ!!」
「やーん、南の島のディナーで告るとかロマンチック〜」
わいわいと盛り上がるクラスを見て、イリーナ先生は
「あんた達…」
と少しだけ嬉しそうに呟いた。
烏間、イリーナくっつけ計画と書かれたホワイトボードの前で殺せんせーはわざとらしく(どうやらこれのために用意したらしい)メガネを直した。
「では、恋愛コンサルタント3年E組の会議を始めます」
ヅラも七三分けで気合十分だ。
「ノリノリね、タコ」
「同僚の恋を応援するのは当然です」
あと、と付け足した後の言葉は割と最悪だった。
「女教師が男に溺れる愛欲の日々…甘酸っぱい純愛小説が描けそうです」
「明らかにエロ小説を構想してる!!」
ヌルフフフと持ち上がった口角から見て考えてる事は脳内真っピンクだ。
「まずさぁ、ビッチ先生。服の系統が悪いんだよ」
「そーそー、露出しときゃいーや的な」
今日のイリーナ先生の格好は黒を基調としているが胸元がぱっくり開いており、全体的に七、八割は肌の露出がされている。
「烏間先生みたいなお堅い日本人の好みじゃないよ。もっと清楚な感じで攻めないと」
イリーナ先生も思う所はあったのか、
「む、むう。清楚か」
と考え込む。