第28章 沖縄旅行は海の香り
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「さて……暗殺教室にふさわしい夏、といえばやはり肝試しでしょう! ずばり暗殺肝試しです!」
殺せんせーの言った言葉に僕らはぽかんと口を開けた。
「暗殺…肝試し?」
「先生がお化け役を務めます、久々にたっぷり分身して動きますよぉ」
殺せんせーは頭に三角の布を巻き、白い着物を着ておいっちに、と準備運動を始める。
「もちろん先生は殺してもOK!! 暗殺旅行の締めくくりにはピッタリでしょう」
「面白そーじゃん、昨日の晩動けなかった分憂さ晴らしだ!!」
それに真っ先に乗ったのは前原くんだ。
「えーでも怖いのやだな〜」
「へーきへーき!!」
僕らがきゃっきゃと騒ぐ様子を殺せんせーはにこにこと……いやにやにやと見ている……。
「殺せんせー、何考えてるの?」
「ななななななな渚くん!? ななななななななななあ〜んにも考えてないですよやだなあ〜」
……いや怪しすぎるだろ!!
僕はこれ以上追求してもわからないし、どうせ殺せんせーの事だからくだらないことでも考えてるんだろうなと思って聞くのをやめた。そして次の話題に移る。
「……あと東尾さんどうするの、あそこに寝かしっぱな訳には行かないでしょ」
ちらりと砂浜を見ると東尾さんはすやすやと寝ている。その目の下にはかすかにクマが見えた。ここから見えるってことは相当寝れてないんだろう。満潮は過ぎたから海に溺れるって事はないだろうけど、寝相とかは僕達わからないし。
「ビッチ先生以外にもう一人位いないの? 皆が肝試ししたいんだったら僕見とく……」
「渚、俺が見とくぜ」
そこに入ってきた声は。
「……寺坂君?」
「東尾にはさっきの礼もあるし、渚は茅野がそこで待ってるから行ってこいよ」
狭間は村松も吉田もいるし原もいるしな、と呟く寺坂君に、僕は甘えることにした。
「……うん……わかった。じゃあ行ってくるね」
ただ呟く時の寺坂君の顔は本当に真剣な顔をしていて、きっと何か覚悟を決めたんだろうと思ったのだ。
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