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【トリップ】全てを知っている私が!【暗殺教室】

第28章 沖縄旅行は海の香り



「その男の命と先生の命、その男の言葉と寺坂君の言葉。それぞれどちらに価値があるのか考えるんです」
渚君は寺坂の投げた物……スタンガンをじっと見つめた。その最中、
「寺坂!!」
ドサリと寺坂が倒れた。
「おまえコレ熱やべぇぞ!!」
「こんな状態で来てたのかよ!!」
心配する吉田くんと木村くんに構うことなく、いつになく赤く荒く息を吐いた寺坂は、
「うるせえ…見るならあっちだ」
と震える指で指した。


「…やれ、渚。死なねぇ範囲で、ブッ殺せ」


寺坂の言った言葉にざわりと空気が動く。スタンガンを拾った渚君からパーカーが脱げてぶわりと飛んで行った。渚君はスタンガンを腰に差し、右手にナイフを持った。……勿論、きちんと切れるナイフだ。

「お〜お〜カッコいいねぇ」
余裕綽々の鷹岡に危険な目を向ける殺せんせー。
「殺せんせー…渚、スタンガンしまっちゃったよ」
「……」
茅野ちゃんの言葉にも上手く反応しない。

「ナイフ使う気満々だな。安心したぜ。スタンガンはお友達に義理立てして拾ってやったというとこか」
……馬鹿にすんな、鷹岡。
あんたを一度は倒した渚君が、何も考えずにスタンガンを拾うわけがない。
「一応言っとくが、薬はここに3回分ほど予備がある」
3つのガラスに包まれた液体はチャプンと揺れた。
「渚クンが本気で殺しに来なかったり下の奴等が俺の邪魔をしようものなら、こいつも破壊する」
そしてそのうちの1つをガリ、と齧る。

「作るのに1ヶ月はかかるそうだ。人数分には足りないが最後の希望だぜ?」

千葉くんが銃を構え、岡野さんが歯を食いしばった。

……危険な状況に変わりはない。しかも誰が見ても間違いなくダメだ。
私たちの学んでいるのは『暗殺』であって『戦闘』ではない。暗殺に絞って訓練している私達は戦闘に向かない。今までの3人の殺し屋は烏間先生だったり、カルマくんの機転だったり、千葉くんと凜香の連携プレーでどうにかなったけど、今回は渚君と一体一。

渚君は音なく近づいた。しかし鷹岡に近づく2mほど手前で鷹岡に勢いよく蹴られる。
「あぐッ」
強かに背中を打った渚君は咳き込んだ。

「おらどうした? 殺すんじゃなかったのか」
半笑いで喋る鷹岡に、ナイフで刺そうとする渚君はいとも簡単に防がれた。ついでだとでも言うように裏拳で顔を殴られる。


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