第28章 沖縄旅行は海の香り
「屋上へ…行こうか。愛する生徒に歓迎の用意がしてあるんだ。ついて来てくれるよなァ? おまえらのクラスは…俺の慈悲で生かされているんだから」
鷹岡はぐしゃりと笑った。ワクチンの爆破ボタンに手をかけたまま。
思い出されるのは、クラスメイトの、苦痛の記憶!
鷹岡についてゆき、最上階のヘリポート横までやってきた。
「気でも違ったか鷹岡。防衛省から盗んだ金で殺し屋を雇い、生徒達をウィルスて脅すこの凶行…!!」
烏間先生が鷹岡を睨みながら言う。
「おいおい、俺は至極まともだぜ! これは地球が救える計画なんだ。おとなしく2人にその賞金首を持って来させりゃ…俺の暗殺計画はスムーズに仕上がったのにな」
「……?」
2人、のところで渚くんと茅野ちゃんを見る。
「計画ではな、茅野とか言ったっけ女の方。そいつを使う予定だった。部屋のバスタブに対先生弾がたっぷり入れてある。そこに賞金首を抱いて入ってもらう。その上からセメントで生き埋めにする。対先生弾に触れずに元の姿に戻るには…生徒ごと爆裂しなきゃ行けない寸法さ」
……そんなの、茅野ちゃんの身の安全すら保障されないじゃないか……。
「生徒思いの殺せんせーは…そんな酷い事しないだろ? おとなしく溶かされてくれると思ってな」
傷だらけの顔で、敵意を向けてくる鷹岡に、皆の顔が青ざめる。
「全員で乗り込んで来たと気付いた瞬間は肝を冷やしたが、やることは大して変わらない。おまえらを何人生かすかは俺の機嫌次第だからな」
「………許されると思いますか? そんな真似が」
ど怒り寸前の殺せんせーの声が静かに響く。
「……これでも人道的な方さ。おまえらが俺にした…非人道的な仕打ちに比べりゃな」
非人道的な仕打ち────それは、前に渚くんに『暗殺』されたことを言っているのか。
「屈辱の目線と、騙し討ちで突きつけられたナイフが、頭ン中チラつく度にかゆくなって、夜も眠れなくてよォ!!」
手で傷がついた頬をまたボリボリと掻くその表情は狂気しか感じない。
「落とした評価は結果で返す。受けた屈辱はそれ以上の屈辱で返す。特に潮田渚。俺の未来を汚したおまえは絶対に許さん!!」
「……!!」
殺せんせーを持っている渚くんを狙って指さす鷹岡に、渚くんは目を見開いた。
「背の低い生徒を要求したのは…渚を狙ってたのか」
「カンペキな逆恨みじゃねーか…!!」