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【トリップ】全てを知っている私が!【暗殺教室】

第28章 沖縄旅行は海の香り



「カルマ君もそう。敵が廊下で見張るのではなく、日常で後ろから忍び寄られたら…あの握力に瞬殺されていたでしょう」
殺せんせーがそう言うと、カルマ君は
「…そりゃね」
と諦めたような表情で笑った。

ふとイケメグが、何か考え込んでいる様子の烏間先生を呼んだ。
「烏間先生?」
「…いや」
烏間先生はかぶりを振ると、
「さぁ時間が無い。こいつは我々がエレベータで来ると思ってるはずだが、交渉期限まで動きが無ければ…さすがに警戒を強めるだろう」
と言った。
「個々に役割を指示していく。まずは…」

私は一番後ろからその様子を見ていた。
寺坂が渚くんに声をかけられる。渚くんは寺坂の首にピタリと手を当てて、すぐに離した。
「渚ッ…」
そして小声で寺坂に話しかける。
「すごい熱だよ寺坂君。まさか…ウィルスんッ!」
「黙ってろ」
寺坂は渚くんの口元に自分の手を当て、必死の表情で渚くんを見つめた。
「俺ゃ、体力だけはあんだからよ。こんなモン放っときゃ治んだよ」
「そんな…無茶だよ」
渚くんはそっと寺坂の手を外した。無理もない。寺坂の足はガクガクと震え、身体中に汗をかいている。夏にしてもかきすぎだ。
「烏間の先公が麻痺ガス浴びちまったのは…俺が下手に前に出たからだ。それ以前に、俺のせいでクラスの奴等殺しかけたこともある」
寺坂と吉田君が先に走って、烏間先生がスモッグの煙を浴びた。シロに騙されて、プールの爆破に協力した。
「こんなところで脱落して、これ以上足引っ張れるわけねーだろ」
「寺坂君…」

いつ自分がウィルス感染していることに気付いたんだろう。きっと休みたいだろうし、死への恐怖だってあるはずだ。
……竹林くんは、冷やした方がいいって言ってた。


「寺坂」
「……? 東尾、なんだよ」
「その声の大きさだと私くらい近いと聞こえちゃうよ」
「! 東尾さん、聞こえてたの?」
渚くんが驚いて目を丸くする。
「耳はいいからね」
「んだよ……お前も休んだ方がいいとか言うのか? 理由は今言ったけどな」
「勿論! ……って言いたいところだけど」
私はガサゴソとポーチを探った。

「はい、前向いて歩いて」
「っおい、何すんだよ」
「いいから」
普通に歩いているように見せかけないとあんたの意思守れないでしょーが。
そう言うと寺坂は黙り込んで歩き始めた。

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