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【トリップ】全てを知っている私が!【暗殺教室】

第28章 沖縄旅行は海の香り



きゅっ、と何かが絞まる音がする。

「ふうう〜……大分体が動くようになってきた」

烏間先生がビキビキと敵のボディーガードの首を絞めている音だ。

……いや正直怖すぎなんですけど!!!
みんなと一緒にひいいいい、と小声で叫びながら、それでも目を離せずにただ見つめる。

「まだ力半分ってところだがな」
そう言う烏間先生の肩は小刻みに震えている。まだ煙の効果は抜けていないみたい。……だけど。
「力半分ですでに俺等の倍強ぇ…」
「あの人ひとりで入ったほうが良かったんじゃ」
そう話している木村くんとイケメグの意見に激しく同意。その時、律が声を上げた。
『皆さん、最上階部屋のパソコンカメラに侵入しました。上の様子が観察できます』
にっこり言う割に物騒だけど、皆でスマホをのぞき込む。
『最上階エリアは一室貸し切り。確認する限り残るのは…この男ただひとりです』
黒い部屋に黒い影。背中しか見えないけど、タバコの煙が上がっているのと画面をじっと見つめているのが分かる。

「こいつが…黒幕か」
誰ならともなくそう言った。
「TVに映ってんのウィルス感染させられた皆じゃねーか。録られてたのか」
「楽しんでみてやがるのが伝わって来やがる、変態野郎が」
「寺坂君」
渚くんはブルブル震えている寺坂に声をかけた。そして、渚くんの手にある殺せんせーが口を開いた。
「あのボスについて、わかってきた事があります」
いつもとは違う、透明なガラスに包まれて、殺せんせーはいつものように笑った。

「黒幕の彼は殺し屋ではない。殺し屋の使い方を間違えてます」
「殺し屋じゃ、ない」

その通りだ。だって、人を殺したことなんてない、『あいつ』は。

「もともと先生を殺すために雇った殺し屋。ですが先生がこんな姿になり…警戒の必要が薄れたので、見張りと防衛に回したのでしょう。…でもそれは、殺し屋本来の仕事ではない。彼等の能力はフルに発揮すれば恐るべきものです」

スモッグ、グリップ、ガストロ。闘った3人は、全力で力をだせる使い方をされてなかったってことだ。それが今回吉に回ったわけだけど。

「…確かに、さっきの銃撃戦も戦術で勝ったけど。あいつ、狙った的は1センチたりとも外さなかった」
先程戦っていた千葉くんは、何かを確認するかのように横にいた凛香をみて、頷く。

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