第3章 第1話は諦めと共に。
「だってみんなこの後椚ヶ丘高校以外も選べるんだよ!? 私は前まで公立の学校に通ってたけど…皆自分のやりたい事に一生懸命で、頭いい悪いで劣等感なんてあんまり抱かなかった。どんな学校にいたってやりたい事やってる子はすごいんだよ! 皆の未来は椚ヶ丘高校にいく子達よりも希望で溢れてるんだからね!!」
……そうだよ。
元の世界の友達。
『私保育士になりたいんだー! 子ども達を大事に育てたい!』
菜津。
『そうだなあ…私はバリバリキャリアウーマンかな。いずれ女社長に!』
仁くん。
『俺はサッカー選手かな。推薦もきたし、このまま努力していきたい』
皆、夢も志望校だって違うけど、楽しそうだった。
なんで皆椚ヶ丘高校に行けないだけで悲しいんだろう、辛いんだろう。
これからクラスの仲は深まっていく。
その中で、きっと辛い事も耐えられるクラスになるんだろうけど……
ずっと、ずっと。
これだけは言いたくて仕方がなかった。
「椚ヶ丘高校に行けないだけでそんな事言うな!!!!!」
思わず出た言葉は、教室中を静まらせた。
私がやらかした、やらかした…と思っていたせいで。
私は気付かなかった。
そう、1話のこの後の流れ。
渚君が寺坂グループに連れていかれた事に。