第28章 沖縄旅行は海の香り
「ホラもとどおり」
そして黒い皮が脱げた。だけど……。
「あ、月一回の脱皮だ」
「こんな使い方もあるんですよ、本来は『ヤバい時の奥の手』ですが………………あっ」
自慢げに言っていた殺せんせーは、途中で重要な事実に気がついた。
「バッカでー、暗殺前に自分で戦力減らしてやんの」
「どうして未だにこんなドジ殺せないんだろ」
ショックそうに顔を手で覆うのを見ると、地球破壊生物というよりはただの天然の馬鹿だ。
みんなも食事に手をつけ始めたけど、殺せんせーの方が気になる様子。……仕方ないか。
いくら目の前に超がつくほどのご馳走が並んでても、ターゲットのことは気になる。ただでさえ皆で大掛かりな暗殺をこれからするんだから。
夕飯後。
私達は船から降りて殺せんせー暗殺の場へと向かった。
「さぁて殺せんせー。メシの後は『いよいよ』だ」
「会場はこちらですぜ」
結局酔った殺せんせーは、どこかから持ってきた木の棒に頼りなく捕まりながら歩いてきた。
そして着いたのは。
「このホテルの離れにある…水上パーティールーム」
茅葺屋根とでも言うのだろうか、フサフサの草が屋根になって、その下は木目が並んでいる。
「ここなら…逃げ場はありません」
中で待ち構えていたのは今回殺せんせーの触手を撃てる権利を持つ7人だ。
そしてあと2人。
「さ…席につけよ殺せんせー」
「楽しい暗殺」
「まずは映画鑑賞から始めようぜ」
2人…三村くんと岡島くんの意地悪そうな笑顔が、殺せんせーを迎えた。
「まずは、三村が編集した動画を見て楽しんでもらい、その後テストで勝った7人が触手を破壊し、それを合図に皆で一斉に暗殺を始める」
7人はいつもの銃を誇らしげに翳した。
「それでいいですね、殺せんせー?」
「ヌルフフフ、上等です」
磯貝君の言葉に殺せんせーはドヤ顔で応対。
「セッティングごくろーさん、三村」
「頑張ったぜ、皆がメシ食ってる間もずっと編集さ」
菅谷くんが三村くんを労う。
「……そういえば、私も中入ったり外行ったりした方がいいの?」
小声で横にいたイケメグに聞くと、
「どっちでもいいって磯貝君が。でも殺せんせーに分からないようにするために出た方がいいかもね」
「わかった」
続いて、
「殺せんせー、まずはボディチェックを」
と渚君が言う。