第27章 夏の一時
「千葉くん、おめでとう」
改めて言うと千葉くんは(目は見えないが)笑ってくれた。
「次は6月!! こいつはもうこの一言! エロの覇者! 6月9日生まれ、岡島大河ー!!」
前原の師匠でもあるよね、とは言わないでおく。
「ありがとう皆あああ!! 俺はこれからもエロを追求していくぜ! 暗殺にもエロを生かす!!」
そんなにエロエロ言って女子に引かれているのを気づいて岡島くん……。
「次ー! E組1の俊足! 体育祭での活躍が期待される、6月12日生まれ!! 木村ジャアアアアアアアアスティイイイイイイス!!」
「その呼び方やめろ!! 俺はま、さ、よ、し!!」
木村くんって『正義』なのにジャスティスって読むんだよね…だいぶキラキラネーム。確かそれが話題になる話がこの先あったはず、楽しみにしておこう。
「6月15日生まれ! 落とした女は数しれず!! 実はうちのクラスにも好きなやつがいるんじゃないかー!? イケメン委員長、片岡メグー!!」
「前原……その紹介どうなの……まあ、ありがとうね。明後日の暗殺頑張ろ!」
前原が唯一口説かなかった女子…『親友への義理』、つまり磯貝くんへの義理らしい。妙な所で気を使うのが何とも前原らしい。そんな前原から紹介されたイケメグは返答をそつなくこなす。
「次! 1ヶ月近く飛ぶから……結構誕生日最近だな! ツンデレながら女子1の銃の扱い!! こちらも南の島暗殺旅行での活躍が期待される!! 7月12日!! 速水凛香!!」
「……ありがと」
速水さんは口数が多くないけど、口元が緩んでるところを見ると嬉しいらしい。あんまり笑わない人の笑顔って、こっちまで幸せになる!!
「速水さんおめでとう!」
「……凛香でいい。京香、ありがと」
…いきなりの呼び捨てとか嬉しすぎて爆発四散しそう。
私の頭の中がお花畑になっても勿論誕生日会は続く。
「7月最後ぉ!! 一学期最後の誕生日!! 7月20日、潮田渚ー!!」
「あはは、前原くんありがとう」
「渚君って3月生まれじゃないんだー」
「カルマ君…それ身長見て言ってない?」
皆が紹介の仕方に笑ったり、(主に紹介された本人が)文句を言ったり、さっきよりもだいぶ騒がしくなった。
「8月生まれは二学期前半に回すってことで! 二学期は日数多いから前半と後半に分けようと思ってるから」
皆はそれにうんうんと頷いた。