第27章 夏の一時
……前原の勘も、馬鹿にできないな。
「教室行って飾り付けしよう」
「わかった」
私達は立ち上がっていつもの教室に向かった。
△
さて、皆が集まったところで……。
「せーの……ハッピーバースデー!!!」
パパンとクラッカーが鳴らされ、教室が一気に明るくなる。
「ありがとう」、といくつかの声が重なり、笑い声が広がる。
仕切るのはもちろん前原だ。
「お集まりの紳士淑女のみなさーん! ここに、E組誕生日会を開催しまーす!」
「いえーい!」
いつもの教室とは違ってより騒がしいというか何というか。
「忙しく過ぎていった一学期!! ちゃんと祝えなかったお詫びも込めて!! 順番に紹介したいとおもいまーす!」
「いえーい!!」
うん、前原もなかなかの仕切りっぷりだ。型に入ってる。
「まずは外せないこの人!! 春休み中のため祝われる人数も少ない! 今日をきっと楽しみにしていたはず! 4月2日生まれ! 岡野ひなた!!」
「うっさいわよ前原!! ……まあ、皆ありがとう」
ツンデレ気味にそっぽを向くひなたちゃん。やっぱりこの2人お似合いだと思うんだ、NL好きとして。
「続きまして!! この一学期で大きな成長を遂げた! 暴れ役なのかいじられ役なのかキャラが行方不明! 4月10日生まれ、寺坂竜馬!!」
「るっせえええええ前原! カルマもそこで笑ってんじゃねええええ!!」
寺坂はわたわたと手を広げて反論。でも確かに一番成長したっていう点では私的に納得かも。
「3番目! 寺坂組を上手く操る影の暗躍者! 5月6日生まれ! 狭間綺羅々!!」
「あら、ありがとう」
「おい前原今何つったああああ!?」
寺坂はまだうるさい。狭間さんが綺麗にお礼したっていうのに、こういう所は変わらないらしい。
「4人目! E組の母!! 一生かけて全ての食べ物を食い尽くしたいと語る!! 5月8日生まれ! 原寿美鈴!!」
「その紹介文句……間違ってはないけどね、皆ありがとーう! プレゼントも嬉しいよ! クッキーとか!」
原さんらしいコメントだ。拍手に包まれる。
「次行くぞー! スナイパーとしての腕はE組第1位! 次の暗殺旅行でも頑張ってくれるであろう!!5月20日生まれ、千葉龍之介!」
「あーありがとう。まあ頑張るわ」
千葉くんは席が近いから一言おめでとうって言った気がする…。