第27章 夏の一時
その技は、渚君にきっと大きな影響を及ぼす……。
……私も、銃を上手く使えるようになりたい!
私は気を取り直して銃を構えた。
しばらくして、渚君とロヴロさんの個人レッスンも終わったようで、2人はこちら戻ってきた。
ロヴロさんはまたみんなの個人レッスンに戻ったけど、渚君はまだ呆けているみたいだった。
「なーぎーさーくん! そんなにビックリしてどうしたの?」
私はあえて話しかけた。
「い、いや……さっき、ロヴロさんに『必殺技』を教えてもらったんだ。……何か、きっといつか使う、って思うよ」
……うん、そうだよ。君は、その技を使う……。こんな風にその時その時の思いを知れるようになるなんて、4ヶ月位前は想像もしてなかったな。
大きく頷いていると、突然声をかけられた。
「そこの少女」
「あっ、はいい!?」
「次は君の個人レッスンの番だ」
「わ、わかりました! 渚君、またね!!」
思いがけずロヴロさんに声をかけられ、私はそちらに駆け出した。
「さて君だが……もうフリーランニングをやってるとか。カラスマから聞いた」
「あ、はい……と言っても全然上手くなくて、自主筋トレと同時進行で烏間先生がいる時はフリーランニングやってます」
「フム……」
どうやら私で最後らしく、皆が続々と訓練を終えてゆく。
「君は小さい銃しか扱ったことがない。少し大きめの男子用の銃を使っても構わない」
「え、ええ? 私、小さい銃でもなかなか当たらないんですけど……」
「人によっては大きい銃の方が良いこともある。使ってみせろ」
「は、はい!!」
いちいち迫力があってビビるな……と思いつつ銃を構えて的を撃つと、さっきよりは命中率が上がった。
「お、おお……すご」
ロヴロさんの意見って的確なんだな……。
「……? これだけやっていればもう少し当たりそうだが……」
「うう、銃だけは苦手でして……止まってるものしか撃ったこと無いんですけど、これで動き始めたら悲惨になると思います」
「……いや、一度動いているものを撃ってみろ。撃ってみないと分からない」
ひええ公開処刑!!?
半泣きで烏間先生を見るも、ただ静かに頷くだけだ。
私が銃苦手なの知ってるでしょ烏間先生!!!
「……ふぅ」
ひとつため息をついてふわふわと(風のせいでかなり)動く風船に照準を合わせる。