第27章 夏の一時
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そして1週間後……
南の島での暗殺旅行1週間前。私達は訓練と計画最終確認のために全員で校舎に集まった。
毎日訓練来たから体は鈍ってないと思うんだけど……と思いつつ一応念入りな準備体操。そして銃の訓練。
そこへバカンス姿のイリーナ先生登場。
「まぁまぁガキ共。汗水流してご苦労な事ねぇ」
肌の露出が激しいワンピースに、ハリウッドセレブさながらのサングラスとつばが広めの帽子。
「ビッチ先生も訓練しろよ。射撃やナイフは俺等と大差ないだろーにさ」
そんな三村くんの意見を受け入れず、イリーナ先生は目元を意地悪そうに細めた。
「大人はズルいのよ。あんた達の作戦に乗じてオイシイとこだけ持ってくわ」
そんなイリーナ先生に声をかける男1人。
「ほほう、えらいもんだなイリーナ」
そう、イリーナ先生の師匠である『殺し屋屋』ロヴロさんだ。
「ロッ、ロヴロセンセイ!?」
「夏休みの特別講師で来てもらった。今回の作戦にプロの視点から助言をくれる」
怖いオーラを放つロヴロさんの横で普通に話す烏間先生。……彼も大概大物だ。
「1日休めば指や腕は殺しを忘れる。落第が嫌ならさっさと着替えろ!」
「へ、ヘイ喜んで!!」
イリーナ先生は急いで洋服が置いてある校舎へ駆け出した。
「ビッチ先生あの師匠には頭上がらねーなぁ」
「…ああ、てかあの人いかにも怖いもん」
そう言いたくなる気持ちもわかる……。
「私ロヴロさんとまともに話したことないんだよねぇ。ちゃんと話してみようかな」
「そうなの? ……って私も京香のこと言えないわ」
「私も…でもロヴロさんってああしてると怖いですけどあんま危険そうに見えないですよねえ」
そんなことを茅野ちゃんと愛美ちゃんと話しながらロヴロさんを見ていると、イリーナ先生が帰ってきた。それを確認してロヴロさんは言葉を切り出す。
「それで、殺センセーは今絶対に見てないな?」
「ああ、予告通りエベレストで避暑中だ。部下がずっと見張ってるから間違いない」
ああ……部下ってことは鶴田さんかな……エベレストまで行ってるんだ…ご愁傷さまです。
「ならば良し。作戦の機密保持こそ暗殺の要だ」
ロヴロさんは満足げに黒手袋をしめた。
「ロヴロさんって殺し屋の斡旋業者なんですよね。今回の暗殺にも誰かを…?」
磯貝くんの質問にロヴロさんはあっさり答えた。