第27章 夏の一時
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「あれ、倉橋さんどこいってたの」
「渚君、まだ帰ってなかったんだ」
玄関前でまた倉橋さんと合流。さっきまで虫とりをして、岡島くんと前原くん、杉野と僕は倉橋さんと行動を共にしていた。
岡島は……『新たなエロを求めて!』とか言って殺せんせーと何処かに行ったが、それ以外のメンバー三人はいる。
「いやあ、さっき東尾さんに会ってね〜、あっちも私がいるの疑問に思ったみたいで、説明してたの」
倉橋さんの淀みない解説に僕らは頷いた。
「え? 東尾何してたの」
前原くんが少し興味を持ったように聞く。
「んーと……訓練? だと思う」
「ちょっと様子みてこーぜ」
杉野がガッツポーズを作って言う。
「んー、邪魔にならないんならいーんじゃないかな?」
倉橋さんも笑ってそう言った。
「……じゃあ隠れて見る?」
僕の提案にほかの3人はうんうんと頷いて、東尾さんがいると思われる方向に歩きだした。
「……やぁっ…」
小さく気合をいれる声が聞こえる。続いてボスッという何かを殴る音。
「……何やってんだ?」
「殺せんせー暗殺用……じゃないよねえ」
校舎の裏からそっと見ると、彼女は黒い塊を力いっぱい殴っていた。どうやらサンドバッグを殴っているらしい。
「……何でサンドバッグ?」
「さあ……」
殺せんせーの暗殺に役立つとも思えないんだけどな。
「はぁっ!!」
……でも東尾さんは真剣な眼差しでサンドバッグを殴っている。
「……東尾さ、前に神崎さんを庇った事あったよな。鷹岡の時」
杉野が東尾さんを見たままで言う。
「うん」
「……だから、東尾がやってる今の事も何か意味があるんじゃないかな」
杉野の言葉に前原くんが頷いた。
「……僕達も訓練してく?」
「でも1週間後には暗殺旅行前の訓練あるぜ」
「……うーん、私はやっていこうかなあ」
「…やっていくか」
意見は合致して、僕らは東尾さんの元へ走り出した。