第25章 期末テストは個人戦!?
「…いいよ、交換しよう」
……そういえば女子とはLINE交換したりしてたけど、男子は烏間先生以外初めてかも。こっちの世界では。
「じゃあね、浅野君」
「……京香。僕の名前は学秀だ」
……下の名前って事?
モテ期? ……ではないわな。あっちの世界でもいたわ、下の名前の方が気が楽って言ってた人。
「……浅野君って榊原蓮の事何て呼んでる?」
「? 蓮だが……」
ほらやっぱり。
まあ下の名前で呼ばれるのが嫌なわけでも、呼ぶのが嫌なわけでもない。もしかしたら浅野で理事長と括られるのが嫌なのかもしれない。だったら……。
「わかったよ、学秀。宜しくね」
ニッコリ笑うと浅野君……もとい、学秀は少し恥ずかしそうにフン、と言った。
さて、と後ろを振り向くと。
「……あれ、皆!? 帰ってなかったの?」
E組メンバー大集合だ。
「いや、最初待ってたんだけど……」
「帰ってくるの遅くて……」
「さっき東尾さんがいった方見に行った」
「でも話は聞いてないよ!!」
「距離的に聞こえなかった……」
おう、皆息があってるなあ。
「待たせてごめんね! 帰ろう!」
茅野ちゃんの肩を弱く叩き、私は本校舎を後にした。
―――
「皆さん! 帰ってくるの遅いですよ! 先生待ちくたびれちゃいました」
「殺せんせーならマッハで迎えに来れるのに……」
「まあまあ、待たせてごめん、殺せんせー!」
殺せんせーと軽く談笑した後、私達はいつもの光景になりつつある物を渡された。
「ひとり一冊です」
ドーンと分厚い夏休みのしおり。修学旅行の時よりも分厚い……気がする……。
「…出たよ恒例過剰しおり」
「アコーディオンみてーだな」
「これでも足りないぐらいです! 夏の誘惑は枚挙にいとまがありませんから」
私も渡されたけど……重っ……何キロこれ……
テストの時のように皆に配ると、殺せんせーは教卓に触手をついた。
「さて。
これより夏休みに入るわけですが、皆さんにはメインイベントがありますねぇ」
「ああ、賭けで奪ったコレのことね」
莉桜がヒラヒラと椚ヶ丘学園のパンフレットを振る。
「本来は成績優秀クラス、つまりA組に与えられるはずだった特典ですが。今回の期末はトップ50のほとんどをA組とE組で独占している。君達にだってもらう資格はあります」
……うん、そう思うけど。