第25章 期末テストは個人戦!?
石ころはコロコロ転がって、浅野君の近くで止まった。
「E組に秘密は…ないよ」
私は浅野君を見た。
「もしあったとしても……私には言えない」
「…君も黙るのか。父もそうだった」
浅野君は期待外れだ、とでも言うように視線をそらした。
「……私は、もうこれ以上秘密を抱えられないから……」
思わず呟いた言葉は、しっかり浅野君に届いていたらしい。
「どういう事だ、それは」
別に聞かれてもそんなに困る内容じゃなかったので私も視線を逸らして答えた。
「…E組の秘密は…ないけど。でも私に秘密はあるよ。断言出来る」
「それは…まあ言えないんだろうな。秘密だろうし」
「……浅野君さ」
私はふと思った事をそのまま伝える事にした。
「私が孤児なの知ってるでしょ」
「……!」
まあ厳密に言うと孤児ではないんだけど。親がいないって事は孤児、みなしごとしか言えない。
「理事長から聞くか、何か資料を盗み見たか、浅野君が問い詰めたか…どれでもいいけど…私はE組だけど、転校生で、孤児で…弱点まみれだったんじゃない? だから変な質問もして頭に残るようにして、あんなに近づいたんじゃないの……?」
「……変な質問は、わざとじゃない」
浅野君は視線をそらしたまま答えた。
……つまりそれ以外はほんとってことか……。
「言っとくけど、孤児って事が秘密なんじゃ……ないよ」
「え」
やっぱり誤解してたんだろうけど……
「……私は…確かに親に会えないし、E組だし、転校生だけど……浅野君が思うような孤独なやつじゃないよ」
「……」
やっぱり孤独だと思ってたんか!! 怒るよ!! ……と言いたいけど言わない。
「E組で私は楽しくやってるし、秘密を簡単に言えるやつでもないよ。もし知りたいなら…自分で調べて。理事長なんかに、頼らないで」
「…もとよりそのつもりだ」
……でも、何だかんだ理事長に似てるよ、浅野君。自力で調べようとするのも、その顔立ちも、少しだけ誤解をしちゃう所も、思い立つと突っ走る所も。
あとは秘密とかを暴こうとする所もかな?
「話は終わり? じゃあ帰ろうかな」
「待て」
今度は何!!?
「……連絡先、交換しておこう」
!!?
「い、いいけど……いいの? 私馬鹿だよ」
「君が50位以内だったのは知っている」
……そこなのかな?