第25章 期末テストは個人戦!?
一週間ほどあとは全校集会……というか終業式だった。もう一学期も終わりか……。
ちょっぴり感傷的になりながら本校舎の廊下を歩いていると、A組の五英傑さんたちに会った。
いや待ち伏せしてたから会うのは絶対だったんだけどね!
「おお〜、やっと来たぜ、生徒会長サマがよ」
寺坂が煽るようにいっても少しも表情を変えず浅野君は通り過ぎようとした。
「何か用かな。式の準備でE組に構う暇なんて無いけど」
「おーう待て待て。何か忘れてんじゃねーのか?」
しかし寺坂は浅野君の肩を掴んで引き止めた。
「浅野、賭けてたよな。5教科を多く取ったクラスがひとつ要求できるって」
そう言ったのは磯貝くんだ。
「要求はさっきメールで送信したけど、あれで構わないな?」
「くっ…」
と瀬尾くんが悔しそうに顔を歪ませた。
「5教科の賭けを持ち出したのはてめーらだ。まさか今さら冗談とか言わねーよな。
何ならよ、5教科の中に家庭科とか入れてもいいぜ。それでも勝つけどな、ヘッヘッへ」
もう完璧に悪人面など寺坂達4人。渚君は声もなく苦笑いを浮かべていた。
しばらくして体育館は賑わい始めた。E組は勿論最初に待ってなきゃいけないんだけど……そこにいつもはいない人がいた。
「カルマ、珍しいな。おまえが全校集会来るなんて」
「だーってさ、今フケると逃げてるみたいでなんか嫌だし」
「?」
聞いた磯貝くんはよく分かってないようだけど、私はわかる。……ってか漫画で読んじゃったからね……。
私は結構後ろの方だけど、だからこそ皆の様子が良く見える。
例えば今菅谷くんが小声で烏間先生に偽律さんについて文句言ってるのとか。
確か機械だとバレないための工作……だっけ?
菅谷くんからするとテスト中も(席が隣だから)気になってクラス最下位取っちゃった位だからまあ仕方ないけど。でもそんな菅谷くんも100位以内には入ってるって考えるとかなりすごいと思う。
……理事長は、どんな目でこれを見てるんだろう……。
始業式には理事長はいなかった。こういう式には理事長は殆ど参加しないのが常なようだ。だから校長が式辞を読んでる訳なんだけど。
「えー…夏休みと言っても怠けずに…E組のようにならないよう」
ここでドッと笑いが起こるのがいつもなんだけど、今日は違う。トップ争いの末の敗北。E組で最下位の菅谷くんでさえ中位。