第25章 期末テストは個人戦!?
そこからは早かった。
それぞれがそれぞれの場所で勉強を重ね、様々な方法で準備に臨んだ。
山道を降りてる最中浅野君を見かけて舌打ち(しかも結構聞こえる音で)されたり、渚君とたまたま会って駅まで英単語言い合いながら帰ったり、原さんに会って美味しいケーキ屋にも行った。まあその途中にはもれなく化学式をお互い言って覚えてたんだけど。
そして迎えた、期末テスト……!
△
「おはよう莉桜」
「おっ、京香おはよ」
私が本校舎の廊下で莉桜に声をかけると、莉桜は余裕そうに振り返った。
「テスト当日だってのに軽いね〜」
「それが私の強みってもんよ。能ある鷹は爪を隠すって言うし」
「ことわざが出てくるあたりやっぱテスト当日って感じだな〜、あー、大丈夫かな〜」
と会話を交わしていると、後ろに渚君がいる事に気がついた。
「あ、渚君じゃん」
「え、嘘」
……莉桜は、一瞬頬を染めた。
…うん、茅野ちゃんと同じ。きっと、渚君の事が……
私は莉桜の横顔を微笑ましく見ようとすると、莉桜は唐突に顔をニヤリと笑わせた。……完璧に変態オヤジ……でも、これで色々紛らわせてんのかな……。
「どーよ渚? ちゃんと仕上がってる?」
「中村さん。…まあ、ヤマが当たれば」
「男ならシャンとしな!! 英語ならあんたも上位狙えんだから」
バチィンといい音で渚君の背中を叩く莉桜。
そしてほんとに微妙だけど…いつもより可愛く口角が上がる。
わかるわかる、こういうさり気ないスキンシップ。それが嬉しかったりするんだよね……
……うん、この話は私の胸も痛くなるし今現在好きな人がいない私には何も出来ないからやめよう。テストだし。
その時、私たちがテストを受ける予定の隣の教室の中から声がかかった。
「楽しみだなァ〜、A組と無謀な賭けしたんだって?」
「おまえら負けたらどんな命令されんだろ〜な〜〜」
出た、よく絡んでくるモブだ。ちょっとホモホモしいポーズをしている。何故後ろから抱きついているんだろうか……
そしてそんなモブの人に莉桜は鉛筆を持ち鼻の穴に刺した。
「ホゲェーッ」
そして勢いでその鉛筆を上に持っていく。……痛そうだけど笑顔でスルーした。渚君もあああ…という表情で笑っている。
「さて…あたしらのテスト会場ここだよね、もう誰か来てる…」
莉桜の言葉は途中で止まった。